高繊維食が妊娠高血圧腎症のリスクを下げる?

妊娠中の女性は、食物繊維を豊富に含む食事を取ることが、妊娠高血圧腎症の予防に有益である可能性を示した研究が、シドニー大学(オーストラリア)のRalph Nanan氏らにより発表された。詳細は「Nature Communications」7月10日オンライン版に掲載された。

妊娠高血圧腎症は、全妊婦の最大10%が発症するとされ、高血圧や蛋白尿、重度の浮腫を特徴とする。Nanan氏らによると、妊娠高血圧腎症の発症には母子間免疫寛容の破綻が関与している可能性が、これまでの研究により示されている。また、母親が妊娠高血圧腎症の胎児では、免疫系の発達が妨げられ、生後はアレルギーや自己免疫疾患発症のリスクが高くなる可能性も示唆されているという。

Nanan氏らは今回、妊娠28週目の妊婦の血清に含まれるプロピロン酸やアセテート(酢酸塩)といった腸内細菌代謝産物を調べ、その後の妊娠高血圧腎症との関連を調べた。その結果、血中アセテートの濃度低下が妊娠高血圧腎症の発症と関連していたことが示された。

この結果を受け、Nanan氏らは、「正常な妊娠の維持には、母体の腸内細菌と食事が極めて重要だと思われる」と述べ、妊娠高血圧腎症の予防策としては、植物性の食品を中心とするリアルフード(素材をそのまま活かした食品)を、適量食べることが何よりも有効だと助言している。

また、妊娠高血圧腎症が、免疫に関与する重要な器官である胸腺の発達に影響を及ぼすことも明らかになった。妊娠高血圧腎症をもつ母親の胎児は、正常な妊娠を維持している母親の胎児に比べ、胸腺が大幅に小さかっただけでなく、生後4年経っても、胸腺で産生され、アレルギーや糖尿病などの自己免疫疾患と関連する制御性T細胞の数が少なかった。

そこで、Nanan氏らは、マウスを用いて胎児の免疫系の発達におけるアセテートのメカニズムを調べたところ、胎児の胸腺やT細胞の発達にもアセテートが重要であることが分かった。ただし、この結果は、ヒトでは確認されていない。

これらの結果を踏まえNanan氏らは、「妊娠中は、腸内細菌が産生する特定の代謝産物を増やすことが正常妊娠の維持に有用であり、後に子どもがアレルギーや自己免疫疾患を発症するのを防ぐことができる可能性がある」と結論づけている。また、これらの疾患が急速に増えている原因のひとつには、西洋の食生活で食物繊維が乏しい高度加工食品がますます主要になっていることが関係している可能性も示唆している。

一方、論文の共著者であるPeter Vuillermin氏は、「現代社会に増加しつつある免疫関連疾患の負荷を低減するために、腸内細菌の代謝システムをどう活用するのが一番良いのか、それを明らかにするために研究を重ねていく必要がある」と述べている。(HealthDay News 2019年7月12日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/dieting-to-increase-fiber-health-news-194/high-fiber-diets-might-shield-against-a-common-pregnancy-complication-748210.html

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