母乳摂取改善で新生児に舌や唇の手術、米で過剰に実施か

米国では、母乳を飲みやすくすることを目的とした新生児への舌と唇の手術が過剰に行われている可能性が高いことが、米マサチューセッツ眼科・耳鼻咽喉科(Massachusetts Eye and Ear)小児気道・発声・嚥下センターのChristopher Hartnick氏らの研究から明らかになった。この研究結果は「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」7月11日オンライン版に発表された。

これらの手術は「小帯切除術(frenotomy)」と呼ばれ、舌と口腔底をつなぐ舌小帯や上唇と歯茎をつなぐ上唇小帯といった膜状のすじを、滅菌した手術用のハサミやレーザーで切除するものだ。これらのすじが短い舌小帯短縮症や上唇小帯短縮症の新生児は、舌や唇を動かしにくく、母乳をうまく飲むことができないとされる。また、このような新生児は虫歯になりやすかったり、発音にも問題が生じたりすると考えられている。

Hartnick氏によれば、小帯切除術はひと昔前から行われている手術だが、近年はほとんど実施されていなかった。しかし、米国では最近になって急増し、その実施件数は1997年の1,279件から2012年には1万2,406件へとほぼ10倍に増えたという。

Hartnick氏らは今回、2018年3月~12月の間に、小帯切除術を行う目的で別の医師から紹介された115人の新生児(中央値で生後34日)を対象に、多職種チームが授乳や発話の発達について詳細に評価した。その結果、72人(62.6%)は「手術は不要」と判断され、上唇小帯切除術を受けたのは10人(8.7%)、上唇小帯切除術と舌小帯切除術の両方を受けたのは32人(27.8%)のみだった。

Hartnick氏は「現時点では、舌小帯切除術や上唇小帯切除術が有益な乳児を簡単に見分けることはできない。しかし、今回の研究では、包括的な臨床評価を導入すれば過剰な手術を回避できる可能性があることが示された」とニュースリリースの中で説明。また、これらの手術には痛みや感染症といったリスクを伴うほか、治療費の自己負担額が極めて大きいといったデメリットがあることも指摘している。

今回の報告を受け、2人の小児科専門医はこれらの手術が過剰に行われている現状を認めた上で、一部の新生児には手術によりメリットが得られるとの考えを示している。

その一人で米ノースウェル・ヘルス・ハンティントン病院のMichael Grosso氏は、「小帯切除術の実施件数はいったん増加した後、減少に転じたが、1990年代に入って再び増え始めた」と振り返り、「母乳育児医学(Breastfeeding medicine)が専門分野として確立し、母乳育児の普及やその成功率の向上につながるこれらの手術の実施が不十分であることが問題視されたのが増加の要因とみられる」と説明している。しかし、今回の研究から過剰治療の実態が浮き彫りになったとして、手術をする前に専門家がその必要性について詳しく調べるべきだとの見方を示している。

米コーエン小児医療センターのDavid Fagan氏もこの考えに同意し、「手術を行う前に、その必要性について母乳育児の専門家や言語療法士による評価を受けることが重要だ」と強調。米国全土で専門家に相談できる環境を整えていくためにも、「より多くの医療従事者に授乳コンサルタントの認定資格を取得してもらいたい」と話している。(HealthDay News 2019年7月11日)

https://consumer.healthday.com/caregiving-information-6/infant-and-child-care-health-news-410/tongue-lip-snip-surgeries-may-be-overused-in-u-s-newborns-748234.html

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