今の気分を知らせる「リストバンド」を開発、英大学

着用する人の気分によって色が変化する指輪「ムードリング」が1970年代に流行したが、長い年月を経た今、同じ系統のハイテク技術を組み込んだリストバンドが開発されたことが、デザイニング・インタラクティブ・システム学会(DIS 2019、6月23~28日、米サンディエゴ)で報告された。このリストバンドは、気分障害に苦しんでいる患者の助けとなる可能性があるとして期待が寄せられている。

このリストバンド型デバイスは、英ランカスター大学教授のCorina Sas氏らの研究グループが開発したもの。同氏によれば、リストバンドを装着するとリアルタイムでフィードバックが得られるため、その場で自分の感情の動きを知ることができ、その原因を考える契機にもなる可能性があるという。

米国立精神保健研究所(NIMH)によると、米国では成人の約10%がうつ病や不安障害、双極性障害、季節性感情障害といった気分障害で苦しんでいるとみられる。Sas氏らは、今回のデバイスを開発した背景について、「気分障害の治療の一環として、自分の感情をより客観的に知った上で、生じる感情に対処する方法を学ぶという治療法がある」と説明。また、共著者で同大学のMuhammad Umair氏は「われわれは、感情の変化をリアルタイムで把握し、対処できるようにするための低コストでシンプルな試作品を作りたいと考えた」とニュースリリースの中で明らかにしている。

このリストバンド型デバイスは、皮膚の電気伝導度を持続的に測定することで、装着した人の情動強度の変化を検知するセンサーを搭載している。感情が変化すると色や温度の変化、あるいは振動や手首を締めつけるといった形で、装着した人に抑うつや不安といった感情の変化を知らせるという。

Sas氏は「うつ病ではさまざまな感情がみられるが、悲しい気分であれば情動強度の低下に関連するため、デバイスでは情動強度の低下が示されることになる。一方で、不安障害では情動強度が上昇しやすい傾向にあるため、デバイスでもそれが反映される可能性が高い」としている。ただし、このデバイスが判別できるのは情動強度の高さと低さの判別のみで、ポジティブな感情とネガティブな感情を判別することはできないという。

Sas氏らは今回、このリストバンド型デバイスの試作品を2日間にわたって12人に装着してもらう研究を実施した。その結果、参加者らは、実際にデバイスによって自分自身の感情を把握することができたと報告していた。参加者からは、「自分の感情をより強く意識し、その時に自分がどのような感情を抱いているのかを考えるようになった。もしデバイスを装着していなかったら、そこまで意識はできなかったかもしれない」といった声が聞かれたという。

しかし、デバイスからネガティブなフィードバックを受け取ることで、さらにネガティブな感情が増幅する可能性を危惧する参加者もいた。この研究には関与していない、米ロング・アイランド・ジューイッシュ医療センターの健康心理学者であるJessy Warner-Cohen氏もこの点を懸念し、「デバイスに自分の感情を指示されないように注意する必要がある」と述べている。

その一方で、Warner-Cohen氏は、このデバイスについて、「従来から行われてきた生理学的な手掛かりから心身の制御を試みる“バイオフィードバック”と呼ばれる手法に通じる」と説明。また、「感情の変化に伴う癖やチック症状の自覚を促す上でもデバイスが役立つ可能性がある」としている。

Sas氏らは今後、約1年をかけて視覚と触覚両方からのフィードバックを統合させた、より頑強な試作品を開発する計画だ。また、新たな試作品の有益性を、うつ病や不安障害といった気分障害の患者を対象とした臨床試験で検討する予定だという。なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2019年7月1日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/medical-technology-news-466/how-are-you-feeling-check-your-wristband-747868.html

Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です