今シーズン(2018/2019)のインフルエンザワクチンの有効性は、ウイルス感染の拡大によって大きな打撃を受けた昨シーズン(2017/2018)をはるかに上回るという報告を、米疾病対策センター(CDC)が「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」2月15日号に掲載した。
この調査は、2018年11月~2019年2月に、インフルエンザワクチン有効性ネットワーク(Influenza Vaccine Effectiveness Network)に登録された計3,254人の成人および小児を対象としたもの。報告書によれば、インフルエンザA型(H3N2)が主として流行した昨シーズンのインフルエンザワクチンの有効性は25%に過ぎなかった。しかし、今回の調査から、今シーズンのワクチンの有効性は、全てのウイルス株に対して47%の効果を発揮していることが分かった。研究を率いたCDCインフルエンザ部門のJoshua Doyle氏らによれば、これは、今シーズンのインフルエンザワクチンを接種すると、重症インフルエンザに罹患する確率が半減することを意味するという。
また、インフルエンザワクチンの効果は、成人よりも子どもの方が高いことも分かった。Doyle氏は「生後6カ月から17歳までの小児では、全体的なワクチンの有効性は61%に上っていた」と報告している。
CDCによると、2月2日現在、インフルエンザは47州で流行しており、24州では高いレベルで流行している。さらに、インフルエンザによる入院も増加を続けている。統計情報によれば、米国ではインフルエンザの流行は継続中で、いまだピークに達していない可能性があるという。CDCインフルエンザ・サーベイランスチームリーダーのLynnette Brammer氏も「インフルエンザウイルスは活性化し続けている」と指摘している。
また、今シーズンは、依然としてA型(H1N1)が最も流行しているが、A型(H3N2)の流行も広がってきている。しかし、今シーズンには、いずれのインフルエンザ株もワクチンに含まれているという。
CDCは、生後6カ月を過ぎたら、全員がインフルエンザワクチンの接種を受けることを推奨している。インフルエンザが猛威をふるい、ワクチン効果が比較的低かったときでも、ワクチンは多くの命を救ってきた。Doyle氏らによれば、昨シーズンには、ワクチン接種により710万人のインフルエンザ罹患と370万件の医療機関への受診、10万9,000件の入院、8,000人の死亡が予防できたと推定されるという。
今年のインフルエンザシーズンは、今後さらに3週間は続くと予想されている。そのため、Brammer氏は、ワクチン接種をまだ受けていない人は、これからでも受けるようにと助言する。
ワクチン接種の利点の一つは、インフルエンザに罹患してもワクチン接種を受けていれば、より軽症で済むことにある。インフルエンザの重症度が軽ければ、特に高齢者や子どもの肺炎などの合併症を防ぐことができる。さらに、同氏は、ワクチン接種を受けることは、自分自身だけでなく、家族や周囲の人々を守ることにもつながると強調している。
Brammer氏は、これまでのところ、今シーズンはH3N2が優勢だった昨シーズンよりもはるかに流行レベルは低いとしている。なお、昨シーズンには、インフルエンザにより約100万人が病院を受診し、約8万人が死亡したと推計されている。(HealthDay News 2019年2月14日)
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