認知機能の低下予防に野菜や果物の摂取が有効か

認知機能の低下を防ぐには、野菜や果物を多く摂取するのがよいようだ。約2万8,000人の男性医療従事者を20年間にわたり追跡した観察研究で、葉物野菜やオレンジ色または赤色の野菜、ベリー類、オレンジジュースを豊富に摂取している男性では認知機能の低下リスクを抑えられる可能性があることが示された。研究の詳細は「Neurology」11月21日オンライン版に掲載された。

米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のChangzheng Yuan氏らは今回、平均年齢51歳の男性医療従事者2万7,842人のデータを収集し、20年にわたり追跡した。追跡期間中、参加者には4年ごとに野菜や果物を含む習慣的な食事の内容や量に関する質問票に回答してもらった。

なお、一食分(one serving)の摂取量は果物で1カップ分または果汁で2分の1カップ分、野菜の場合は生野菜で1カップ分または葉物野菜で2カップ分と定義した。対象者には研究が終了する4年以上前、平均73歳の時点で思考力や記憶力などの調査を実施し、記憶力の低下が認められた場合には軽度認知障害(MCI)の初期徴候とみなした。

その結果、対象者の55%で全般的な思考力や記憶力は良好に維持されていたが、38%では中程度、7%では不良であった。解析の結果、1日当たりの野菜の摂取量が約6食分と最も多かった男性では、1日当たり2食分と最も少なかった男性と比べて思考力の低下がみられるリスクが34%低かった。また、習慣的にオレンジジュースを飲んでいる男性では、1カ月当たり1杯以下だった男性と比べて思考力の低下がみられるリスクは47%低かった。なお、こうした関連は主に最も高い年齢層の男性において認められた。

さらに、記憶力の低下がみられた男性の割合は、野菜や果物をあまり摂取しない男性では8%だったのに対し摂取頻度が高い男性では7%未満だった。オレンジジュースの摂取量ついても同様の結果が得られた。ただし、Yuan氏は「果汁は高カロリーである場合が多いため、飲むなら1日当たり小さなグラス1杯程度(118~177mL)にとどめるべきだ。また、果汁ではなく食物繊維が豊富な果物を丸ごと食べる方が有益だ」と説明している。

ただ、Yuan氏は「こうした食事を心掛ければ認知機能の低下を予防できることが証明されたわけではなく、また女性や医療従事者以外の男性にもこの結果が当てはまるかどうかは不明だ」として、慎重な解釈を求めている。

この報告を受け、米アルツハイマー協会のRebecca Edelmayer氏は、対象者の記憶に基づく調査データを用いているという限界はあるが、「心疾患の予防と同様に、認知機能の維持にも生活習慣がある程度は影響することが示された」と述べている。同氏は「健康的な食事や運動、脳への刺激は精神機能に好影響を与える可能性がある」として、将来的には心疾患と同様、アルツハイマー病に対しても生活習慣の介入が行われるようになるのではないかと展望している。なお、この研究には米国立衛生研究所(NIH)が研究資金の一部を提供している。(HealthDay News 2018年11月21日)

https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-aging-news-10/give-thanks-for-these-foods-that-help-preserve-aging-memory-739895.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です